人参と大根の相性はいかに!?ビタミンCの酸化を防ぐ対策5つ
おはようございます。管理栄養士のせーかさん。です。「唐揚げ+レモン」や「焼き魚+大根おろし」のように+αの食品で美味しさが増す食品の組み合わせってありますよね。実は美味しさが増すだけではなく、栄養素の吸収が良くなったり、悪いものを分解したり排出したりと食品に含まれる成分どうしが良い働きをしてくれます。逆に栄養素を壊す悪い組み合わせもあります。そこで、今回は今後の調理に活かせる食品の組み合わせについてお伝えしていきます。
人参と大根の組み合わせの相性
人参と大根を一緒におろした「紅葉おろし」はきれいに赤く染まって、見ているだけで食欲をそそります。人参には抗酸化力が強いβ-カロテンが含まれていますが、大根に含まれるビタミンCとともにさらに抗酸化力を発揮してくれそうに感じます。しかし、実は人参に含まれているある成分が、大根に含まれるビタミンCを酸化させていました。ゆえに相性は△です。
ビタミンCを酸化させる成分とは?
アスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)です。アスコルビン酸とはビタミンCのことで、ビタミンCを酸化させる酵素ということになります。ビタミンCの酸化ということはビタミンCとしての抗酸化力がなくなっているということになります。しかし、酸化したビタミンCも別の酵素により、2H⁺,2e⁻をもらうと元のビタミンCに戻ることができます。
アスコルビン酸酸化酵素によって還元型アスコルビン酸は減少しても酸化型アスコルビン酸として存在していると考えられ、総ビタミンC としては大きく変化しないようです。ゆえにビタミンCの栄養価に大きな影響は与えない可能性があるとも言われています。
アスコルビン酸酸化酵素によるビタミンCの酸化を抑制させる方法5つ
ビタミンCの酸化は、アスコルビン酸酸化酵素の他に、加熱、照射などによる自動酸化や鉄や銅といった重金属イオンによる触媒酸化もあるようです。ここで『紅葉おろし』でのビタミンCの酸化を抑制させるために、今後の調理で実践して頂きたい内容をまとめました。紅葉おろしだけではなく野菜ジュースにする際にも気をつけることができる点があると思います。
①食材の温度
アスコルビン酸酸化酵素の至適温度は35~40℃とされるので、人参と大根を冷蔵してから使用しましょう。
②おろし方
紅葉おろしをする場合は人参と大根は別々に速やかにおろしましょう。
③紅葉おろしのpH
アスコルビン酸酸化酵素の至適pHは5.5~6.0とされるので、紅葉おろしに食酢やレモン汁などの酸を加えましょう。柑橘汁など約5%の使用で効果があるようです。
ちなみに人参と大根を使った紅白なますはお酢が入っているので良い組み合わせとなってますね。
④調味
塩、酢、煮出汁、酢醬油は若干ですが、酵素の働きの抑制に役立つので、おろし人参にまず調味しましょう。
⑤保存
食べる直前におろし、合わせ、早めに使い、紅葉おろしの状態で保存はしないようにしましょう。食べる直前におろすメリットとして、大根の解毒作用成分であるイソチオシアネート(辛味成分)の減少を防ぐ効果もあげられます。
アスコルビン酸酸化酵素を含む野菜
今回は人参と大根の紅葉おろしを例に話しましたが、アスコルビン酸酸化酵素の活性が強い野菜は、人参の他にさつまいも,じゃがいも,かぼちゃ,きゅうり,バナナ,リンゴ, 柿があります。生で食べることが多い食材をミキサーやおろしたりする場合は上記の調理法を参考にしてくださいね。
最後に
ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必要です。
こちらの記事もぜひ見てください。↓
ビタミンCは加熱調理するとなくなってしまうのか?
いろんな食材を食べることは美や健康につながりますが、食材の組み合わせや調理方法で栄養が失われたりするととてももったいないですよね。管理栄養士として食材の栄養だけではなく、これからも食品の組み合わせや調理法など工夫して栄養を摂る方法など紹介していきます。
参考図書
・久保田紀久枝,森光康次郎 編”スタンダード栄養・食物シリーズ5食品学-食品成分と機能性-第2版 補訂”,東京化学同人(2012)
・小島彩子, et al. “食品中ビタミンの調理損耗に関するレビュー (その 2).” ビタミン 91.2 (2018): 87-112.
・林宏子. “紅葉おろしのビタミン C.” 調理科学 23.4 (1990): 361-366.
・加藤亮二,長村洋一,熊取厚志 編”健康食品学第4版”,一般社団法人日本食品安全協会(2014)
東 聖佳(せーかさん。)
最新記事 by 東 聖佳(せーかさん。) (すべて見る)
- 疲れていない?そんな時はお酢のチカラ!健やかうまうまレシピ♩ - 2019年7月18日
- 更年期に摂ってみて!豆苗に豊富なβカロテンと気になる栄養素 - 2019年5月24日
- 老化の進行やがんを防ぐキャベツの効果|どのように食べる? - 2019年3月29日
最新記事
中島ゆき
2019/09/30日焼けあとの肌にも 混ぜるだけ手作りアロマジェル
おはようございます!キラナ美活サポーターの中島ゆきです。 最近はジェル…
黒田 リコ
2019/09/23出産経験者の2人に1人は下肢静脈瘤を発症している?予
ふと自分の足を見たときに「あれ?血管が赤黒くなってない?」「もしかして…
松尾功子
2019/09/02今からでも間に合う!「秋の老け顔対策」ケア3選
キラナライフの松尾です。今日も、コスメコンシェルジュ、エステティシャン…
matsuki_takahiro
2019/08/10永遠のテーマ「アンチエイジング」研究の最新トピックス
おはようございます。佳秀ヘルスケア研究開発の松木です。 前回に引き続き…