5分でわかるアミノ酸の働きと機能について(BCAA編)
■BCAAはスポーツアミノ酸
・BCAAの特徴
ロイシン、イソロイシン、バリンの3種類の必須アミノ酸は R(側鎖)の部分の構造が直線ではなく、枝分かれしているため branched chain amino acid(分枝鎖アミノ酸)とよばれます。また、ロイシン、イソロイシンは化学組成は同一ですが、原子の結合順序が異なる構造異性体の関係にあります。3種類のアミノ酸はいずれも食品添加物として利用されます。いずれも苦みがあるので味の調整をしていると考えられます。
・BCAAと筋肉
BCAAは骨格筋(骨格を動かすための筋肉で、対照として内臓筋があります)の機能保持に重要なアミノ酸です。人の筋肉のエネルギーは最初、糖質や脂質が使われますが、減少してくると筋肉中のタンパク質を分解してエネルギーとします。この時のエネルギー源がBCAAです。他、数種類のアミノ酸が知られています。同時にこの筋肉中のタンパク質の分解は筋肉のダメージ、消耗となるので新たにタンパク質を合成しなければいけません。この中心的な働きをするのがロイシンです。ロイシンにはタンパク質の分解を抑制する働きがあることもわかっていますが、近年、イソロイシンやバリンも間接的にタンパク質の合成に関与していることがわかってきました。このことからアスリートに限らず、筋肉痛、運動障害の予防のため運動直後のタンパク質摂取が推奨されています。わたしも以前、指導者を伴って筋トレをしていましたがトレーニング終了後、バナナ味のプロテインを牛乳に混ぜて飲んでいました。数か月で胸に筋肉が付いて歩くたびにゆれるので不快だった(禁断の経験?)記憶があります。これは筋肉肥大を目的としていたため、参考にはなりませんが…
・BCAAと疲労
運動による中枢性疲労(脳主体の疲労)は血液中の BCAAの減少により誘発されます。BCAAは身体活動が増すと代償的に血液中の BCAA量が減少します。このため脳血管関門において競合アミノ酸のトリプトファン(必須アミノ酸で脳内神経伝達物質)の流入量が増加し、疲労感が増大します。以上のようなことから BCAAはスポーツアミノ酸と呼ばれています。
■BCAA(必須アミノ酸)を摂取するためのおすすめ食材(3選)
繰り返すようですが、必須アミノ酸は人の体内で合成できないため、食品として摂取しなければいけません。今回は BCAAの補給の観点から3つのタンパク質を選びました。
・鮭 … 栄養価(アミノ酸スコア)の高さに加え、鮭に含まれるアスタキサンチンは末梢性疲労(筋肉疲労)、中枢性疲労(脳疲労)の軽減にも有効なため
・納豆 … 栄養価の高さに加え、納豆にはタンパク質の合成でも重要なビタミンB群を豊富に含んでいるため
・ツナ缶(水煮) … 栄養価の高さに加え、幅広い調理に利用できるため
※鮭、納豆についての記事もご紹介しています。
■さいごに
次回はタンパク質の栄養評価法をまじえて、効果的な食事についてのお話をしたいと思います。また、このブログ内には管理栄養士2名、調理師1名が定期的に美と健康に重点をおいて発信しています。(散発的ですが、それぞれが調理した食品を、試食のために持ってきてくれますが、どれも万人向けのおいしさです)こちらの方も見ていただければ幸いです。やはり料理は味、見ためが大切ですよね。とても参考になりますよ‼
川﨑孝治
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