なぜ人は疲れるのか?②疲れのメカニズム、酸化ストレスとの関係
前回に引き続き、「疲れ」に関する話題です。
前回は、疲れとは脳の、特に自律神経に関わる領域が疲れることで起こるいうことをお話しました。
今回は、その疲れを感じるまでの流れについて、最近の研究で分かってきた酸化ストレスとの関係を中心にお話します。
疲れのスタートは活性酸素の発生から
私たちが生活する上で、私たちの体は酸素を取り込み、使っています。
その過程で活性酸素が生まれ、過剰に生まれた活性酸素は酸化ストレスとして悪影響を与えます。
近年の研究により、この過剰に発生した活性酸素が疲れのおおもとであることがわかってきました。
まず、過剰に発生した活性酸素が細胞を攻撃し傷つけます。
その結果、細胞が十分に機能をはたせなくなり身体的なパフォーマンスの低下を引き起こします。
これを脳が疲れと感じているのです。
ここでいう機能の低下が、前回お話した自律神経系の機能低下だということです。
脳へ疲れを知らせる物質の発見
活性酸素によって細胞が傷つけられると、その細胞から老廃物が発生します。
その老廃物の一部から引き起こされて発生する”FF(Fatigue Factor:疲労因子)”というタンパク質が2008年に見つかっています。
このFFをマウスに与えたところ、運動をしなくなるといった観察結果が得られているということです。
FFに対し、”FR(Fatigue Recover Factor:疲労回復因子)”という疲労回復タンパク質が私たちの体にはあります。
このFRによって回復できなかった分のFFが、疲れのシグナルとして脳に伝わるのです。
さいごに
いかがだったでしょうか。
酸化ストレス(活性酸素)は様々な体の不調、そして病気につながる存在としてキラナライフでは何度か取り上げてきました。
そのことを踏まえて考えてみると、不調の先駆けである疲れが、酸化ストレスが原因で起こるということにも納得ができます。
次回は、疲れのサインとして現れる”とあるウイルス”についてご紹介する予定です。
参考文献
渡辺恭良. 疲労の科学・脳科学と抗疲労製品の開発. 日本生物学的精神医学会誌, 2013, 24.4: 200-210.
西谷真人, et al. 新規抗疲労成分: イミダゾールジペプチド. 日本補完代替医療学会誌, 2009, 6.3: 123-129.
matsuki_takahiro
最新記事 by matsuki_takahiro (すべて見る)
- 永遠のテーマ「アンチエイジング」研究の最新トピックス|栄養 - 2019年8月10日
- 永遠のテーマ「アンチエイジング」研究の最新トピックス|睡眠・エピゲノム - 2019年7月5日
- 疲れ目に効果的な抗酸化成分アントシアニン〜ブラックフード番外編〜 - 2019年6月7日
最新記事
中島ゆき
2019/09/30日焼けあとの肌にも 混ぜるだけ手作りアロマジェル
おはようございます!キラナ美活サポーターの中島ゆきです。 最近はジェル…
黒田 リコ
2019/09/23出産経験者の2人に1人は下肢静脈瘤を発症している?予
ふと自分の足を見たときに「あれ?血管が赤黒くなってない?」「もしかして…
松尾功子
2019/09/02今からでも間に合う!「秋の老け顔対策」ケア3選
キラナライフの松尾です。今日も、コスメコンシェルジュ、エステティシャン…
matsuki_takahiro
2019/08/10永遠のテーマ「アンチエイジング」研究の最新トピックス
おはようございます。佳秀ヘルスケア研究開発の松木です。 前回に引き続き…