肌の機能改善効果をもつスフィンゴ脂質(セラミド)の機能性
今回ご紹介するスフィンゴ脂質ですが、私たちの肌機能、特に保湿の面で重要な役割をもった成分となっています。
近年の研究報告とともにスフィンゴ脂質の機能性をご紹介いたします。
肌をしっとり保つスフィンゴ脂質とは
人は加齢や生活環境の変化などにより、肌の保湿力が低下し、乾燥肌や肌荒れの原因となっていることがわかっています。
スフィンゴ脂質はいくつも種類がありますが、人の肌の細胞膜を構成する成分として有名なセラミドがあります。
セラミドはスフィンゴ脂質の基本骨格となっており、セラミドに別の分子が結合することでその多様性を生んでいます。
例を挙げると、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴシン、スフィンゴミエリンなどがあります。
このセラミドは角層細胞間で水分や物質の透過や皮膚のバリアの形成に寄与しています。
そのため、肌保湿効果などの美肌機能をもっており、化粧品などにもよく配合される成分です。
肌のツヤ、ハリをキープする上で重要な成分となっています。
スフィンゴ脂質がもつ肌機能改善効果
スフィンゴ脂質の基本骨格であるセラミドは、様々な機能を持っています。
大きく分けると2つで、一つは細胞間の情報伝達脂質としての役割、もう一つが保湿などの構造脂質としての役割です。
情報伝達の役割としては、細胞増殖の抑制や、細胞分化促進、細胞死誘導などがあります。この役割により肌の機能をコントロールしているのでしょう。
構造脂質としての役割は、前にも挙げた表皮透過バリアを形成し皮膚の防御機能を高める作用があります。
構造脂質としての機能を利用したセラミド配合化粧品での肌保湿効果は10年以上前から示されていますが、近年では食事やサプリメントとしてのスフィンゴ脂質の皮膚機能改善効果についても研究がなされています。
動物試験や人での臨床試験において、経口摂取で皮膚バリア機能を改善したという報告や、皮膚の水分蒸散を抑え、保湿作用をもっていることなどが報告されています。
さいごに
スフィンゴ脂質、特にセラミドが私たちの肌機能に大きく寄与していることがお分かりいただけたでしょうか。
乾燥肌や肌荒れの原因となるセラミドの低下への対応策として、従来の化粧品の利用がありました。
外からも中からもケアをするということで、近年進められる食事やサプリメントでの研究報告に基づき、次回はスフィンゴ脂質を摂取するにはどのような食品を摂取すればよいのかをご紹介します。
参考文献
酒井祥太; 光武進; 五十嵐靖之. 食品成分としてのスフィンゴ脂質の生理機能. ビタミン, 2013, 87.11: 605-609.
内田良一. セラミドとその代謝産物の皮膚における役割. Journal of Japanese Biochemical Society, 2017, 89.2: 164-175.
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