眠った力を呼び覚ます!間接的に働く抗酸化物質~作用編~
前回に引き続き、最近注目されている間接的な抗酸化効果をもつ物質についてご紹介します。
今まで多くの研究者が抗酸化性物質について研究を重ねてきましたが、その中で抗酸化物質といっても様々な作用を持った種類があるということが分かってきました。
今回は、間接的抗酸化物質がどのように抗酸化性を示すのかを見ていきます。
また、間接的抗酸化物質をもった食品もご紹介します。
間接的抗酸化物質はどのように働くのか
中村らの報告によると、間接的抗酸化物質によって、様々な抗酸化酵素や低分子抗酸化物質合成酵素の遺伝子発現が誘導され抗酸化性を発揮するということです。
その際にはNrf2という転写因子が遺伝子発現を誘導する制御役をになっています。
Nrf2はもともと酸化ストレスに対する生体防御機構の鍵となる因子として知られています。
間接的抗酸化物質によるNrf2の活性化ににおいて様々な効果が報告されています。
エタノール代謝において重要な酵素活性を一部制御したり、動脈硬化や神経疾患などの酸化に関連する疾病予防や、抗炎症作用の促進も報告されています。
間接的抗酸化物質を含む食品
これまでの間接的抗酸化物質の研究により、以下の食品に間接的抗酸化活性が見出されています。
・ワサビ、クレソン、ブロッコリー、大根などのアブラナ科野菜
・ニンニク、玉ねぎなどのユリ科ネギ属
・ショウガ科の野菜
・レモングラス等のハーブ類
・パパイヤ、アボカド
成分としては、アブラナ科野菜に含まれるイソチオシアネートやフラボノイド類、ウコンの主成分であるクルクミン、ぶどうの果皮に含まれるレスベラトロール、ニンニクに含まれるジアリルジスルフィドなどでその効果が証明されています。
フラボノイドやクルクミン、レスベラトロールについては直接的な抗酸化作用をもっているため多機能といえます。
さいごに
間接的抗酸化物質についての研究はいまも進められており、多量摂取による安全性などの課題も残っています。
どんな食べ物であっても多量摂取は体に毒ですので、少しづつ食事に取り入れてみてください。
参考文献
中村宜督. 抗酸化酵素の転写調節を可能にする食品成分. Agricultural Biotechnology, 2018, 22: 2-33
本橋ほづみ. 酸化ストレス応答転写因子 Nrf2 による代謝制御と細胞増殖. 生化学, 2014, 86.2: 269-273.
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