人の体型に係わる腸内細菌と「善玉菌」を増やす食材選び
目次
- 「デブ菌」、「やせ菌」について
- 腸内環境を整える食材選び
- まとめ
「デブ菌」、「やせ菌」について
みなさんの中に”私は太る体質”と思われている方がいたら、それはお腹(腸内)に「デブ菌」が多いからです。
これは2006年にNatureにて発表された米国のジェフリー・ゴードン博士のグループの実験と結果によるもので、その実験と結果は以下に示します。
・腸内が無菌のマウスに、肥満体のマウスの腸内細菌を移植すると、高い確率で肥満体になる。
・ヒトの一卵性双生児(遺伝的同一)のうち、一人が肥満型、一人がやせ型のペアを探し、それぞれの腸内細菌を無菌のマウスに移植するとあきらかに肥満の人から移植を受けたマウスの方が太った。
この発表以来、一気に腸内細菌に注目が集まり、世界中で研究が進められています。
一部を紹介すると、腸内細菌の分布は多種多様(1000種類以上でまだまだ増えている)で親兄弟でも同一ではないという報告があります(2013、Science)。
また、大多数の人の腸内細菌は①フィルミクテス門、②バクテロイデス門、③アクチノバクテリア門、④プロテオバクテリア門の4種類で構成されており、このうちの肥満の人にはフィルミクテス門の細菌が多く、バクテロイデス門の細菌が少ないことが分かっています(2011、Am J Clin Nutr)。
このことから、フィルミクテス門の細菌が「デブ菌」、バクテロイデス門の細菌が「やせ菌」と呼ばれています。
ただし、フィルミクテス門の細菌の中には乳酸菌(善玉菌の代表種)や納豆菌も含まれるため、すべてが「デブ菌」というわけではありません。
バクテロイデス門の細菌は日和見菌と呼ばれるもので、水溶性食物繊維を栄養源として短鎖脂肪酸やビタミン類を生成します。
短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの炭素数が6個以下の脂肪酸のことです。短鎖脂肪酸は、脂肪細胞への吸収の抑制作用とエネルギー代謝の促進作用による肥満の予防や、毒素からの防御、大腸粘膜の保護(大腸がんの予防)、糖尿病の予防、食欲抑制などさまざまな有効性が分かっています。
腸内環境を整える食材選び
現在、人にとって理想の腸内細菌の割合は、【善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7】、とされていますが、食習慣による各自それぞれの腸内環境作りが最も大切なことです。
日和見菌は善玉菌か悪玉菌の優勢な方に同調していく細菌です。
日和見菌であるバクテロイデス門の細菌を腸内で増やすためには、まず善玉菌を増やす必要があります。
善玉菌は”オリゴ糖類”や”水溶性食物繊維”を栄養源として増殖します。これらを摂取することで、善玉菌を増やし腸内で善玉菌優位な状況をつくります。
そうすることで、「やせ菌」であるバクテロイデス門の細菌が増殖し、短鎖脂肪酸やビタミン類などを作り出してくれます。
・オリゴ糖類を豊富に含む食材
豆類(いんげん、えんどう、小豆など)
野菜類(ごぼう、玉ねぎ、にんにくなど)
果物(りんご、バナナ)…弱火で加熱するとオリゴ糖が増えます!
・水溶性食物繊維
海藻類(わかめ、海苔、昆布など)
野菜類(らっきょう、にんにく、ごぼう、オクラなど)
果物(アボカド、干し柿、うめなど)
その他(きな粉、納豆、干ししいたけ、いんげん豆、乾かんぴょう、抹茶粉末など)
ごぼう、にんにく、いんげん豆、納豆、きな粉の5品目は、オリゴ糖、水溶性食物繊維を両方とも豊富に含む食材ですので、色々なレシピを考えて積極的に摂取してみてください。
まとめ
腸内環境を整えることはとても重要なことです。
しかし、加齢やストレス、バランスの悪い食習慣で現代人はなかなか難しいと思います。
また、その人その人で適した食習慣があると思います。毎日その食習慣がよいのかを自問自答していくことが大切です。
今回のように、太りやすい体質の人はオリゴ糖類や水溶性食物繊維を、普段の食事に積極的に取り入れることを意識してみましょう。
次回は、腸内環境が良い状態にあるかの確認方法についてお話します。
参考文献
TURNBAUGH, Peter J., et al. An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. nature, 2006, 444.7122: 1027.
RIDAURA, Vanessa K., et al. Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice. Science, 2013, 341.6150: 1241214.
JUMPERTZ, Reiner, et al. Energy-balance studies reveal associations between gut microbes, caloric load, and nutrient absorption in humans–. The American journal of clinical nutrition, 2011, 94.1: 58-65.
川﨑孝治
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