ウイルスが人を救う!?今注目のバクテリオファージ(歴史編)
本格的な冬も終わり、春の訪れを感じる今日この頃です。
季節の変わり目には、何かと体調を崩すことがあるかと思います。
また、卒業や入学、新しい会社など、環境の変化もあり、心身ともにコンディション管理には十分に注意が必要になる時期でもあります。
この時期も手洗いやうがいをしっかりと行うなどして、ウイルスや菌などの感染にも十分に気をつける必要があります。
キラナライフの中で、ウイルスの基礎の話や代表的なウイルスのご紹介をしてきました。
今回は、少し変わり種?人を守るウイルス”バクテリオファージ”をテーマに3週にわたってご紹介していきます。
目次
- バクテリオファージの発見
- 抗生物質の誕生による衰退
- 次回予告
バクテリオファージの発見
バクテリオファージとは、バクテリアつまり細菌に感染し死滅させるウイルスです。
ウイルスと聞けば、人に害をなすものだとイメージされますが、中には人の役に立つウイルスも存在するのです。
ウイルスが初めて発見されたのが1898年です。
そして、このバクテリオファージが発見されたのが1915年と、比較的ウイルス学として初期に発見されていたウイルスです。
最初に発見されたのが対ブドウ球菌のバクテリオファージ、1917年には対赤痢菌のバクテリオファージが発見されています。
抗生物質の登場による衰退
そんなバクテリオファージですが、ソ連や東欧を中心に盛んに研究が行われてきました。
しかし、特定の細菌にしか効かないことや、感染機構が不明瞭であったのが当時の現状です。
そんな時登場したのが、抗生物質です。
1929年に青カビから単離されたペニシリンをかわきりに、ストレプトマイシンなど様々な抗生物質が探索または合成されるようになりました。
奇跡の薬として、赤痢や結核、コレラなどの20世紀前半に猛威をふるっていた感染症を治しています。
下記グラフを見ても昭和20年代から30年代にかけて結核による死亡率が減少しているのが分かります。
出典:平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai16/dl/kekka.pdfを加工して作成
その他多くの感染症に対応できる抗生物質の誕生により、バクテリオファージの研究は下火になっていったのです。
次回予告
今回は、バクテリオファージの歴史についてご紹介しました。
抗生物質の誕生により下火になったバクテリオファージはなぜ今再注目されているのでしょうか?
次回は、抗生物質の基本的な情報をまとめ、最終回のバクテリオファージが再注目されている現状に繋げていきたいと思います。
matsuki_takahiro
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