永遠のテーマ「アンチエイジング」研究の最新トピックス|栄養
前回に引き続き、2019年日本抗加齢医学総会からのトピックです。
前回は、アンチエイジングに関わる研究の中から睡眠・エピゲノムに関するお話をしました。
今回は、「栄養」に関するアンチエイジングトピックをご紹介します。
ビタミンD不足による”くる病”患者が増加している
最近、ビタミンB1、ビタミンD不足による乳幼児の脚気、くる病が増加傾向にあるということです。
これは、糖分の多いスポーツ飲料を飲む機会が増えていることも関係しています。
また、母親にビタミンD不足が目立っており、母乳のみで育っている乳幼児の方がくる病になりやすいそうです。
場合によってはミルクなどもうまく併用しながら乳幼児の栄養不足も補っていきましょう。
以前の記事でもご紹介しましたが、ビタミンDは日光を浴びることで体内で作られます。
最近は、子どもも含めなるべく日に当たらないようにしている家庭も増え、ダイエットなどでの栄養不足が重なるとくる病に繋がるのです。
大人もビタミンDが不足すると骨が弱くなり、骨粗鬆症に発展することもあるので気をつけましょう。
ビタミンDを多く含む食品:魚、牛乳、乳製品、きのこ類(干し椎茸やまいたけ)
実はブラックフード!しいたけは天日干しするとビタミンDが増える!?
栄養は体内で偏って分布されている
体内には数多くの栄養成分が含まれていますが、その栄養成分はそれぞれ偏って分布されています。
例えば、ビタミンCは脳の下垂体や、副腎などに高濃度に含まれていることが知られています。
そして、ビタミンCが不足してくると、この下垂体や副腎といった高濃度に含まれている組織にこそ問題が起こりやすくなるということです。
下垂体からは成長ホルモンなどの様々なホルモンが分泌されています。
副腎はコルチゾールを分泌する組織で、疲労とつながりがあります。
副腎にビタミンCが高濃度にあるということは、ビタミンCは疲労軽減に役に立っていると考えられます。
ビタミンCは抗酸化物質として知られていますので、その作用かもしれません。
日頃疲労感を感じている方は、ビタミンCを積極的に摂取していきましょう。排泄されますので、毎日摂取することも重要です。
ビタミンCを多く含む食品:野菜(赤ピーマン、キャベツ、ブロッコリー)、果物(レモン、アセロラ)
ビタミンB群の重要性
人は体内でエネルギーを作り出す機構を持っていますが、その一つにTCA回路というものがあります。
このTCA回路を循環させるために重要な役割を持っているのがビタミンB1、B2、B6といったビタミンB群とヘム鉄と呼ばれる鉄です。
TCA回路が正常に回ることで、その過程で発生する活性酸素もうまく消化され体を正常に保ってくれるのです。
これらビタミンB群、鉄は三大栄養素を体内で有効活用するためにも重要な栄養です。
例えば、タンパク質はビタミンB群や鉄の働きでGABAやドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質へと変換されていきます。
興奮作用のあるドーパミンや抑制作用のあるGABA、それらのバランスを保つセロトニンを作り出すということで、心や感情のコントロールにも役立っていると考えられます。
ビタミンB群を多く含む食品:肉類、大豆製品、穀類(玄米)
さいごに
ビタミンの話が中心となりましたが、一般的によく知られている栄養がいかに重要な存在であるかがお分りいただけたのではないでしょうか。
体の不調を感じている人は、偏った食事を整えるなど食生活を見直し、それでも不足する分はサプリメントなどで補うといった対策をとってみましょう。
matsuki_takahiro
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