美の感性を磨こう<前編>

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こんばんは。ロクジンです。
みなさんは「感性の磨き方」というと どんな行動を思い浮かべるでしょうか。本日は美の感性について、二回に渡り私の様々な経験からお話をしたいと思います。

目次

  • 美術好きの原点
  • ボストン美術館との出会い
  • 失われた美術品たち

美術好きの原点

美の感性を磨く為には多くの美しいものに触れる事です。それも出来るだけ本物が良いです。
私が中学校の1年生の時に西洋の名画のポスターを学校の廊下で展示販売していました。私たち中学生でも買える値段でしたので、何枚か買いました。A3判位の大きさの物だったと思います。その頃はまだ日本は貧しく当然地元に美術館なんて無く、その時はそのポスターをみて、いたく感動し自分の部屋に飾って毎日眺めたものでした。これが私の美術好きの原点だと思います。高校生になって美術全集を親から買ってもらいました。西洋の有名な絵画が収められていて、とても嬉しく思いました。

ボストン美術館との出会い

私が本格的に美術館めぐりをするようになったきっかけは、40歳の時にボストンに行った時にボストン美術館を訪問した事です。
ボストン美術館は浮世絵の収集でも有名です。それは「浮世絵を勉強するならボストンへ行け」と言う位です。岡倉天心とフェノロサが明治の御代にまだ浮世絵の価値がそれほど日本で評価されてないころに買い集めたのです。浮世絵だけでなく仏像も含む日本美術全般と東洋美術の収集は素晴らしいものがあります。
そのボストン美術館のもう一つの目玉が印象派の作品群です。私はそれまで美術全集でしかルノアールは見ていませんでした。まあせいぜいA3判くらいの大きさです。本物のルノアールの作品で等身大の男女二人のダンスの絵を見て釘づけになりました。素晴らしい。これが本物なのか。「ブージヴァルのダンス」というルノアールの「ダンス3部作」の一つです。後の2つはパリのオルセー美術館にあり、後に見ることができました。このボストンでの体験が私を印象派好きにさせてしまったのです。この日から3日間毎日ボストン美術館に通いました。

夜は当然ボストンシンフォニーに行きました。その当時は小澤征爾が指揮者をしていて、ボストンシンフォニーの花形でした。残念なことに私が通った3日間は世界のオザワは不在で小澤征爾の指揮は体験できませんでした。しかし、名門交響楽団の演奏だけあって、クラシック音楽に疎い私でも、すっかりとりこになったのです。
オープンリハーサルも面白かった。オープンリハーサルは入場料が安く、楽団員も平服だし、お客様も気楽な恰好で来ています。リハーサルですから練習風景を味わえる訳でなかなか楽しいものです。ボストン美術館ではその3日間の間にモネ展もあり「積み藁」「ルーアン大聖堂」シリーズの、時間や季節によって変化する光のバリエーションを堪能し、「睡蓮」も沢山見ました。

失われた美術品たち

私がボストン美術館やその後で行ったニューヨークのメトロポリタン美術館やワシントンのナショナルギャラリーで感じた事は、いくらお金があってもルネッサンス期の美術品は手に入れ難いという事です。
第一次世界大戦で唯一無傷だったアメリカ合衆国は、他のヨーロッパ諸国がお互いの生産力を潰しあう中で一人儲けした訳です。もちろん日本も無傷でしたから大儲けしました。
世界の富を独占したアメリカ合衆国は美術品を買いあさりましたが、残念な事にルネッサンス期の至宝は簡単には手に入りません。それで当時売れ始めていた印象派の絵を買い集めたのだと思います。日本でも川崎造船所の川崎幸次郎氏が西洋近代の絵画や彫刻、それに流失していた浮世絵等をイギリス、フランス、ドイツ等で沢山買いつけました。
残念な事に第一次世界大戦後の大不況の中で手放なさなければならなかった物や、軍部の不理解によって日本国内に持ち込めないまま焼失したり、戦後フランス政府によって没収されたものなどにはゴッホ等の印象派の名作が相当にあります。その残りが国立西洋美術館等に収集されています。
戦争に負けるという事は、理不尽にも個人財産でも簡単に没収されるのです。

<続く>

美の感性を磨こう<後編>

 

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寺本麓人

代表取締役社長佳秀工業株式会社
佳秀工業株式会社 代表取締役社長。1948年生まれの現役経営者で、大きな夢を持ち、日々悪戦苦闘しながらも着々と夢に向かって前進しております。身体・心・環境の「三つの健康」に寄与できる事業展開を常に考え動いています。 趣味は美しいものなら何でも。美術、音楽、文学、大自然の景観、古い街並やモダンなデザイン、演劇、花鳥風月、もちろん女性も。海も山も川も大好きです。夜明け、夕暮、雨だって好きです。ローソクのあかりも。気になるコトには何にでも首を突っ込みます。考えるコトも好きですが、どちらかと云うと「やってみなけりゃワカランやん」という事で、行動を重視しています。多読で乱読、気に入れば精読。どんな本でも片っ端から読みます。

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