プラセンタエキスは豚?馬?羊?牛?どれがいい??
1.胎盤の効能・成分の違い
1) 胎盤の効能の違い
私の知る限り、化粧品もしくは健康食品に配合されるプラセンタエキスの由来動物は「ヒト、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ」の5種類です。抽出されるエキスの動物間の効能にそれほど差はないと考えております。例えば、ヒト由来プラセンタエキスが医薬品として女性の更年期障害の治療に使用されています。一方で、ブタ由来プラセンタエキスにおいても更年期障害の諸症状に効果が認められたとの報告がございます。
2) 胎盤の成分の違い
プラセンタエキスはいずれの動物も主成分は20種のアミノ酸やペプチド、蛋白質であります。例えば各動物から抽出された20種類のアミノ酸は動物間で成分に差が生じます。この差が効能の差となり得るかは不明です。
3)抽出方法により効果の差は生じる。
同じ動物から得たプラセンタエキスであっても抽出方法で効能に差が出る可能性があります。プラセンタエキスには大きく分けて2種類の抽出方法があり、一つは胎盤の凍結融解を繰り返し出た肉汁(細胞液)を抽出する方法で、もう一つが、胎盤のたんぱく質を酵素で分解して液化する抽出方法です。
私はこれまで毛乳頭細胞に対するプラセンタエキスの研究を行った経験があります。細胞液をえる抽出方法では、ある生理活性物質が増殖する効果がありましたが、酵素による分解抽出ではそのような効果は見られませんでした。抽出法により、プラセンタエキスの効果が異なることが実証された一例です。
2.動物により胎盤の大きさと数が異なる
胎盤は、その動物の大きさ・重量や1回の分娩で生まれる子供の数によって、産後に出てくる胎盤の大きさや数が異なります。基本的にウマやヒトは産後に1袋の胎盤しか生まず、馬は15kg、ヒトは0.5kg程度です。1回のお産に10匹程度生むブタはやはり10袋程度(1袋0.5kg程度)の胎盤を産出します。
3.社会的政治的背景で取り扱われ方が違う
1)医薬品で使われるプラセンタはヒト由来
プラセンタエキスはおもに「ヒト、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ」の5種類の動物に由来されます。中でもヒト由来のプラセンタエキスは更年期障害等の治療で注射剤として製造されています。医療用医薬品としては利用されるのはヒトのみです。しかし、一方で、医薬部外品や化粧品には使用できず、市販されておりませんので薬店などでの入手は不可能です。
2)日本の化粧品で使われるプラセンタは豚・馬
ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタは化粧品に使用されております。ヨーロッパではヒツジ、インドネシアではウシ、日本ではウマ、ブタといった感じでしょうか。それ以外のプラセンタエキス由来動物の世界分布は把握できておりません。実は1990年代までは日本は羊、ウシ由来のプラセンタエキスが主流でした。しかし、口蹄疫や狂牛病問題で、政府によって牛・羊由来の医薬品・化粧品原料が禁止されました。プラセンタエキスもその例外ではありませんでした。それで、ウシ、ヒツジ由来に代わってブタ由来が一気にプラセンタエキス市場を席捲(せっけん)しました。さらに最近では、化粧品については馬由来のプラセンタエキスも見かけるようになってきました。
3)化粧品で国の規格に適合するプラセンタエキスは豚のみ
日本では薬機法上の取扱いでウマとブタには決定的な違いがあります。ブタ由来のみが「医薬部外品原料規格」という公定書に収載され、医薬部外品に配合できます。一方、ウマ由来は公定書に収載されておらず、現在のところ医薬部外品への配合は難しい状況です。ブタ由来プラセンタエキスは美白の有効成分として認められていますが、ウマは認められていないというステータスの差があります。
4)国産は豚が多い
日本の哺乳類の家畜は圧倒的にブタとウシが多く、ブタの頭数が約900万頭、肉牛約250万頭、乳牛約130万頭と中でもブタの数が多いです。ゆえにブタ由来のプラセンタエキスの胎盤は国産のものも多くあります。ブタであってもスペイン産のものも多くあります。ブタのみにかかわらず、ウマ由来胎盤についても産地にはご注意を。
5.まとめ
サラブレッド等、何となくウマの良いイメージでウマ由来プランタエキスが売り出されていますが、国の規格に適合することを考えるとブタの方がステータスは優位です。また、健康食品においても「10,000mg」などよくわからない数字を表示する製品もございます。プラセンタエキス製品はどれも同じではありません。イメージやよくわからない数字に惑わされることなくメーカーのポリシーを調べて本質を見極め、本当に良いと思うプラセンタエキスを選びましょう。
山川雅之
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