プラセンタって胎盤なの?鮮度が一番胎盤サプリ!!
1.プラセンタって胎盤なの?
1)プラセンタエキスの「プラセンタ」とは胎盤のことです。
化粧品の配合成分で「プラセンタ(=Placenta)」という言葉をよくきかれるとおもいますが、日本語では「胎盤」です。プラセンタエキスとは胎盤からのエキス(抽出物:extract)のことです。
2)胎盤は五臓六腑にはカウントされない臓器
プラセンタ(胎盤)は母体の子宮に張りついて、臍帯(へその緒)を介して胎児と母体をつないでいます。そして、胎児の生命維持のために以下の役割を担っています。
・胎児の呼吸
・胎児への栄養物供給
・胎児からの排泄
・母体-胎児間内分泌物質交換
・胎盤内代謝
・たんぱく質合成
・ホルモン産生
・免疫等胎児の成長
胎盤は着床後に形成され、母体内で胎児を育てるために一時的に出現し、胎児分娩後、体外に排出される五臓六腑にはカウントされない第六の臓器です。
2.人が胎盤を食す風習
1)古来よりの妙薬
胎盤はクレオパトラ、楊貴妃、マリーアントワネットが美容に利用したといわれております。秦の始皇帝が不老長寿の薬として、また、ヒポクラテスが医療で利用したともいわれています。日本においても加賀の国で混元丹という滋養強壮の薬として利用されていました。
2)漢方としての利用
胎盤は非常に栄養豊富なため常温で放置するとカビや細菌により腐敗してしまいます。干上がる前に腐敗する恐れがあるため干物にすることも難しいものです。そのため中国では胎盤を洗ったり煮たり蒸したりした後に乾燥して、腐敗を避けて保存できるように漢方薬を仕上げました。その名は「紫可車」。漢方にかかわる書物『諸證辨疑』ではこの紫可車を「久しく服すれば、耳聡く、目明らかに、鬚髪黒くなり、天年を延べ、寿命を益し、造化を奪う功がある」と老化現象を抑え、寿命を延ばすものである旨の記載がされています。
3)日本では味噌漬けで食す
昭和初期の頃、赤ちゃんに飲ませる乳が出にくい人には胎盤を食べさせるという風習があったようです。すでに胎盤の汁液には生理的に極めて多岐にわたる非常な能力を有すること、発育促進成分も含有されること、母乳を通じて赤ちゃんに届け発育を促す能力があること、が知られていました。
ただし、その胎盤は味噌漬けにしたそうです。“味噌漬”は味付け目的だけでなく、腐敗防止目的もあったのではないかと推測します。昭和初期で冷凍庫はない時代ですので、味噌漬けは食べ物を保存する常套手段だったのでしょう。
そして、味噌漬けは胎盤の素晴らしい成分をそのまま、余すことなく、機能を損なわず保存して食すことができるといった利点があり、前述の漢方薬紫可車よりも優れた和風薬膳だといえます。
3.草食動物が胎盤を食す
自発的に胎盤を食す動物もたびたび目撃されております。
1)胎盤を食すのは哺乳類の本能
犬猫その他の獣類も胎盤を食すという報告があります。また、モルモットに至っては産後胎盤を食べないと十分な授乳ができないそうです。人においても1920年代においても文明から隔離された地方の原住民にも胎盤を食べる風習があったようです。このように哺乳類には産後胎盤を食す本能があると思われ、文明の発達によってその本能が薄らいでいったと考えられます。
2)牝牛も食す
1920年代の島根県の農業の会報において、牝牛が分娩後に出てきた胎盤を自ら好んで食べていることや同様な傾向がみられるといったことが書かれております。牛は草食の哺乳類で通常胎盤のような「肉」に属するものは食べないと思われがちです。農業の会報の筆者は「(分娩牛の)欲するに任せ食をとらせることが自然に適ふのではないか。」と、この記事を締めくくっており、本能的に滋養目的で胎盤は食されるものと示唆しています。草食動物からも本能的に食される胎盤は実に神秘的なものであるといわざるをえません。
4.産後以外でも摂取できる胎盤エキス
1)サプリメントや化粧品に配合される胎盤エキス
産後でなくても現代では「プラセンタエキス」という形で胎盤を食したり、肌に適用したりできます。プラセンタエキスはサプリメントや化粧品に配合されています。
2)胎盤エキスは胎盤の鮮度が大切
化粧品・サプリメントに利用される胎盤は産後に母体内から排出されます。それまで体内にありましたので体外に排出された直後の胎盤は体温で生暖かくなっています。細菌類が活発に増殖しやすい温度なので、そのまま放置しておくと数時間で腐敗します。スーパーで販売されているような生鮮生肉よりも早く腐敗すると思われます。
したがって、プラセンタエキスに使用される胎盤は畜産農場で産後早期に回収され、凍結されることが望まれます。そして、プラセンタエキスメーカーで個々の胎盤が腐敗していないことが確認されなければ胎盤の新鮮さは保証されません。
3)衛生度が大切(衛生的な畜舎の胎盤が望まれる)
母体は分娩後その場で胎盤を産み落としますから、その現場は衛生的でなければなりません。畜産の衛生管理の基準として「飼養衛生管理基準」というものがあります。病原菌の農場への侵入や蔓延を防ぐ設備や、野生動物の侵入を防ぐ施設を設けること、母体の健康観察、母体の衛生状態の確保などを適切に行うこと等が規定されています。この基準を遵守した養豚場でなければ衛生的な胎盤を得ることは難しいでしょう。例えば、現場に蛆(うじ)がわいていれば胎盤に入り込んでしまいます。そのリスク回避のためにもプラセンタエキスメーカーによって一つ一つ胎盤の品質確認は必須です。でなければ腐敗胎盤や蛆のついた胎盤のエキスが化粧品や健康食品に混入される可能性は払しょくできません。
5.まとめ
胎盤は美容・滋養に対し神秘的なほどの効果を示します。しかし、化粧品やサプリメントに配合されるプラセンタエキスの原料となる胎盤が腐敗したものであれば残念なことです。そのリスクを回避するために、そのメーカーのホームページでポリシーや工場が獲得している認証を参考に胎盤が信頼できるものであるかを判断してみてはいかがでしょうか。
山川雅之
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