プロが教える!良いシャンプーの選び方
毛髪は何からできているの?
参考資料:SCIENC of WAVE 改訂版 日本パーマネントウェーブ液工業組合 新美容出版 P.175(2002)
毛髪に良いシャンプーを選ぶためには、まず、毛髪が何からできているのかを知っておくことが大切です。毛髪は、上図のように、毛髪の80~90%は”タンパク質”(主にケラチン)でできています。タンパク質は20種類のアミノ酸の様々な配列によって構成されています。逆にいえば、「多数のアミノ酸の結合によってタンパク質はつくられている」ということでもあります。
ケラチンのアミノ酸組成とは
参考資料:SCIENC of WAVE 改訂版 日本パーマネントウェーブ液工業組合 新美容出版 P.175(2002)
:F._J.Wortmann an H.Zahn.Textile ResearchJournal 65(11) 669-675(1995)
毛髪のケラチン(タンパク質)を詳しくみると、アミノ酸組成は上図のようになります。
<シスチン>
この成分が多く含まれていることで、毛髪は細くても強くて丈夫です。弾力やハリ、コシがあるのはこの成分のおかげです。
<セリン・グルタミン酸・プロリン>
これらの成分は、全体の約3割ほどを占めています。”水となじむ”、”水に溶けやすい”という性質があります。これらの成分のおかげで毛髪は適度な水分(13~15%)を保持することができます。
毛髪のダメージを修復するには
毛髪のダメージは、パーマ、ヘアカラー、紫外線などの様々な要因により「毛髪のタンパク質が流出すること」が原因で起こります。毛髪は死んだ細胞のため、一度損傷すると元に戻すことはできません。そのため、日々のケアがとても大切になります。
毛髪の損傷を修復(リペア)する為には、毛髪を少しでも元の状態に近づけることが重要と考えられています。最も効果的といわれているのが”ケラチン”の補給です。代表的なものに”羊毛(ケラチン)”があります。羊毛はそのままでは水や油に溶けないため、シャンプーなどには加水分解されたものが配合されています。その他にも、”タンパク質(アミノ酸)由来”の成分が効果的といわれています。裏面表示の表記名は次のように記載されていますので参考にして下さい。
<主なタンパク質由来成分>
●羊毛
表記名:ココイル加水分解ケラチン
●コラーゲン
表記名:ココイル加水分解コラーゲン
●シルク
表記名:ラウロイルシルクアミノ酸・セリシン
●牛乳
表記名:加水分解カゼイン
●ダイズ
表記名:ココイル加水分解ダイズタンパク・ヒドロキシプロピル大豆たんぱく
●真珠貝
表記名:加水分解コンキオリン
表記名がちがうこともありますが、「ココイル○○」「ラウロイル○○」「ヒドロキシ○○」「加水分解○○」とある場合は、タンパク質(アミノ酸)有効補修成分と考えてよいでしょう。
また配合成分に「○○エキス」とある場合も、毛髪や、頭皮にとっての有効成分といえます。しかし、残念ながらこれらの”成分”は価格が高い為、必然的にシャンプーの価格もかなり高くなります。サロン用のシャンプーなどの高額なものに配合されていることが多いです。安価なものに入っていたとしても”微添”と考えた方がよいでしょう。
価格=品質 は
あながち嘘ではないのです。
界面活性剤とは
界面活性剤とは、水と油という混ざらないものを乳化するものです。簡単にいえば「水と油をくっつける成分」といったところでしょうか。界面活性剤には4種類あります。
<界面活性剤の種類>
●アニオン型(陰イオン)
用途:乳化助剤・洗浄・可溶化
裏面表示では、名前の最後に”塩”・”石けん”・”硫酸ナトリウム”とつきます。
●カチオン型(陽イオン)
用途:帯電防止・殺菌・柔軟
裏面表示では、名前の最後に”クロリド”・”アンモニウム”とつくものが多いです。
●アンホ型(両性イオン)
用途:洗浄・乳化助剤
裏面表示では、名前の最後に”ベタイン”とついています。
●ノニオン型(非イオン)
用途:乳化・可溶化
裏面表示では、名前の最後に”グリセリル”・”水添ヒマシ油”とついています。
シャンプーは洗浄が主な目的となるため、一般的にはアニオン、両性、ノニオンが使用されています。
洗浄と補修の原理
シャンプーは、汚れを洗い流すことが目的です。そのため、一般的に”アニオン”、”アンホ”、”ノニオン”の活性剤が使われます。まず、油の成分と油汚れがなじむことで、油汚れが浮き上がります。そこに、水をかけて洗うことで今度は水の成分と水がなじみ、洗い流すことができます。
コンディショナーなど毛髪を修復する場合は、一般的に”カチオン界面活性剤”を使用します。傷んだ毛髪はマイナス(ー)の電気が増えるため、プラス(+)の電気を持つ活性剤を使用することで磁石のように引き合い、毛髪を修復していきます。
シャンプーは界面活性剤が大切
シャンプーは汚れを洗い流すことが目的です。そのため、界面活性剤が主力の成分となります。先程、シャンプーでは、一般的に”アニオン”、”アンホ”、”ノニオン”の活性剤が使われるとご紹介しました。中でも、メインとなるのがアニオン型活性剤です。アニオン型界面活性剤には大きく分けると3種類あります。
<アニオン型界面活性剤>
●高級アルコール 及び 石けん系
特徴:起泡力・洗浄力が高いが、きしみやすい、ヘアカラーの褪色が早い
裏面表示名:ラウレス硫酸Na,オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、PEG-3ヤシ油脂肪酸アミドMEA硫酸Na、スルホコハク酸ラウレス2Na,ラウリン酸K、ステアリン酸Na、パルチミン酸K、ヤシカリ石けん など
●アミノ酸系
特徴:すすぎ時なめらか、マイルド、ダメージ補修、ヘアカラーの褪色を抑制
裏面表示名:ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルグルタミン酸NA、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルアラニンTEA、ココイルグリシンK、N-アシルグルタミン酸 など
●タンパク系
特徴:すすぎ時なめらか、マイルド、ダメージ補修、ヘアカラーの褪色を抑制
裏面表示名:ココイル加水分解コラーゲンK、ラウロイル加水分解シルクNa など
高級アルコール系及び、石けん系は安価なものに配合されることが多く、長期間使用することで、きしみ、カラーリングの色落ちなどが懸念されます。その点、アミノ酸系、タンパク系は補修を同時にしてくれるという特徴があります。
アミノ酸の構造上、+(プラス)とー(マイナス)の電気を1つずつ以上持っています。本来、毛髪は±(プラス・マイナス)の電気はほとんど持っていませんが、”損傷”することでー(マイナス)の電気が増えてしまいます。ー(マイナス)とー(マイナス)の静電反発で毛髪は広がります。修復するためには+(プラス)の電気が必要です。±(プラス・マイナス)の電気の働きで、磁石のように吸着しやすくなります。アミノ酸はプラスの電気を持つため、傷んだ毛髪を修復することができます。また、刺激が少なく、お肌や毛髪にとって”やさしい”という特徴があることからも”おススメのシャンプー”といえるでしょう。
まとめ
シャンプーは界面活性剤が命!
実際に、ドラッグストアなどで販売されているようなパブリック商品と、業務用として販売しているようなサロン品では裏面表示を比べるとあきらかに違いがあります。アミノ酸系、タンパク系を使用したものは洗浄しながら、同時に毛髪を補修してくれます。○○エキス配合も高級品です。裏面表示に記載されていたとしても、微添であることがほとんどです。残念ながら、安価なものにはほとんど配合されていません。どのくらいの量を配合しているのかは「見極める目」が必要になります。ある程度のお値段を出すことをおすすめします。
参考資料
2016年5月28日に開催された下記セミナーを参考に作成しています。
日本化粧品検定主催(コスメを読むセミナー~ヘアケア商品を大解剖~)
担当講師:株式会社成和化成 早坂友幸氏
松尾功子
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