アミノ酸の働きと機能についてー特別編(分析実例3選)

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おはようございます。佳秀ヘルスケア品質管理担当の川﨑です。今回はアミノ酸の分析実例を3つ紹介します。前回、私は自身の親指の爪を”ニンヒドリン試薬”で染めてみたのですが、3週間ぐらい消えなかったので少しびっくりしました。ちなみに皮膚の場合は、1~2日で消えます。(写真はニンヒドリン)

■ニンヒドリン試薬とは?

ニンヒドリン(芳香族化合物の一種で白色(微黄色)結晶)を水やアルコールに溶かしたものです。その発色の原理は”ニンヒドリン”がアミノ酸のアミノ基の部分に結合することで、”ルーエマンパープル”とよばれる紫色の化合物を生成することにあります。特徴としてニンヒドリン反応はアミノ酸の濃度が高いほど、強く濃く発色します。(下の写真はニンヒドリンをアルコールに溶かしたもので、アミノ酸の他、タンパク質でも反応後、加熱させると数分で発色します。)

■アミノ酸の分析実例

①指紋の採取が可能?
みなさんは指紋の採取といえば、TVなどでみられるアルミニウムを主成分とする白色の粉末を想像されるかもしれません。
しかし以前は被験物が紙や木材など、試薬がしみこむような場合に”ニンヒドリン試薬”が使われていたそうです。わたしも試したことがあるのですがぼんやりとした指紋で、あまりうまくいきませんでした。現在は、感度の高い蛍光性の色素が使われているようです。

②洗浄バリデーションへの利用
※バリデーション(妥当性確認)製造工程や検査・分析の方法や過程が適切であるか科学的に検証すること。
これからの2例はわたしの業務内から取り上げました。わたしの事業部内の製造工程ではタンパク質が原料として使われます。このタンパク質が触れた器具、装置を製造終了後、洗剤で洗浄しますがその時、よく洗えているか(残渣が無いか)、よく濯げているか(洗剤が残っていないか)ということを確認しなければいけません。その残渣の確認に”ニンヒドリン試薬”を使います。方法はあらかじめ濃度のわかった(タンパク質溶解液)標準液を薄層クロマトの上にスポットします。同時に器具、装置の洗浄後の濯ぎ液を試料として別の薄層クロマトの上にスポットし、色の比較により判定します。
★薄層クロマト  アルミ製の板の上にシリカゲルが塗られたもので、物質の分離や精製の判別に使われる試験器具
下の写真は薄層クロマトにタンパク質標準溶液をスポットしたものです.左から試料,1ppm,10ppm,100ppm、上にあるのはキャピラリーと呼ばれるガラスの毛細管で 20μlスポットできます。
3ロットの確認が必要なため、まだ途中ですが、ろ過で使用しているステンレス製の網などは基準値以下ですが残留タンパク質が認められるので、みなさんも調理で”ざる”などを使う場合、洗い残しには注意してください

③クロマトグラフィーによる定量

下の写真は以前に測定したものですが、わたしの事業部で製造している原料をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)装置でアミノ酸分析をした結果です。HPLC装置の原理を簡単に説明します。混合試料(液体)を成分ごとに分離し、定量する装置です。大きく分けて移動相(液体)、固定相(カラム)、検出器から成りたちます。移動相を混合試料が流れていく途中にカラムとよばれる場所があり、この中で成分ごとに滞留時間が違うために、後の検出器でカラムをでてきた順にピークとして、差となって読み取られます。一般的にこのピークの面積を、あらかじめ測定していた標準試料と相対比較して、成分の量を測定していくものです。前回登場したAla(アラニン)は8.089分、Gly(グリシン)は6.699分で検出されています。20種類のアミノ酸がわずか20分ぐらいで測定できます。(実際は試料の作製や測定後の解析でもっと時間がかかります)

■まとめ

今回はアミノ酸分析の実例を3つ紹介しましたが、みなさんに役立つ情報が少なく申し訳ございません。次回は分岐鎖アミノ酸のLeu(ロイシン)、Ile(イソロイシン)、Val(バリン)の3種類についてお話します。

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川﨑孝治

佳秀ヘルスケア品質管理所属の川﨑です。 専門は細菌(バクテリア)です。 趣味は釣り、ゴルフ、野球(観る、する)など、広く浅くしていましたが 今はもっぱらおいしい肴を食べながら、その年の出来のよい日本酒を探して1合ぐらい飲むのが日々の楽しみです。 できる限り、実体験をもとに「美と健康のお役立ち情報」をキラナライフ を通じて発信していきたいと思います。

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