シャンプー迷子必見!あなたの髪に合うシャンプーの見つけ方
界面活性剤って悪者なの?
シャンプーの目的は、肌(頭皮)に負担をかけずにやさしく汚れを落とすこと。突き詰めるとこの一点に尽きます。そして残念ながら、万人に合うシャンプーは存在しません。私たちは自身の頭皮の状態や体質に合ったシャンプーを見つけ出さなければなりません。
最近よく聞く“界面活性剤フリー”という言葉。界面活性剤は悪者で、使っていない方が良いシャンプーなのでしょうか?
でも実のところ、シャンプーの洗浄成分は主に界面活性剤であり、絶対に必要な成分です。界面活性剤とは、“水と油”のように本来混ざり合わないものの界面(表面)の性質を変えてなじませる成分のことで、別名「乳化剤」とも言われます。界面活性剤が入っていなければ、油分を含んだ頭皮の汚れは落とせません。つまり、現在の技術で“しっかり洗える界面活性剤不使用のシャンプー”というものは存在しません。
では髪が傷むことを覚悟して、界面活性剤を使用しなければないないのでしょうか?それとも界面活性剤を使わず、汚れたままで我慢するしかないのでしょうか?ベストな答えは、良質で安全性の高い界面活性剤を使用したシャンプーを選ぶことです。
シャンプーの洗浄成分(界面活性剤)の分類
界面活性剤にはさまざまな系統があります。
- 石鹸系(陰イオン)
- 硫酸(サルフェート)系(陰イオン)
- アミノ酸系(陰イオン)
- アミノ酸系(両性)
- ベタイン系(両性)など
石鹸系由来の洗浄成分
- カリ石鹸素他
- ラウリン酸K
- オレイン酸K
- ミリスチン酸K など
「石鹸」という名前からもわかる通り、日本では昔からよく使用されている成分です。洗浄成分がアルカリ性のため、洗浄力は高いものの、弱酸性の頭皮をキシキシさせたり、ごわついたりすることもあり、使い心地の好みが分かれます。
硫酸(サルフェート)系由来の洗浄成分
- ラウリル硫酸Na
- ラウレス硫酸Na など
これらの洗浄成分は洗浄力・刺激ともに強いと言われ、これらを配合したシャンプーを好まないユーザーも多数います。これらの成分が入っていないシャンプーは“ノンサルフェートシャンプー”“サルフェートフリーシャンプー”と呼ばれています。
アミノ酸系由来の洗浄成分
- ラウロイルサルコシンTEA
- ラウロイルアスパラギン酸Na
- ココイルアラニンNa
- ココイルグルタミン酸TEA など
アミノ酸は人体を構成しているタンパク質の主成分であり、髪や頭皮にやさしくなじみやすいのが特徴。保湿成分が吸着しやすく髪の補修に向いていますが、吸着しやすい分すすぎも入念にしなければなりません。また刺激が少ない分、洗浄力も比較的弱い傾向にあります。成分原価が高いため、シャンプーも高価格帯のものが多くなっています。
▪︎アラニン系
アラニン系は低刺激で頭皮にもやさしく、泡立ちも良く程よい洗浄力もあるので、洗い上がりはスッキリした使用感です。「ラウロイルメチルアラニンNa」「ココイルメチルアラニンNa」は、アミノ酸系では非常に低刺激で高級な成分です。
▪︎グリシン系
グリシンそのものは、コラーゲンの構成成分となるアミノ酸。グリシン系は、中性から弱アルカリ性に位置します。石けんと同じような性質があり、皮脂・油汚れ(弱酸性)への洗浄力・脱脂力はやや高めです。
▪︎グルタミン系
アミノ酸系の中では、最も低刺激・低泡立ち・低洗浄力です。
▪︎PPT(タンパク質由来)系
天然由来のタンパク質加水分解物(ポリペプチド)由来の成分で、コラーゲン系・シルク系・ケラチン系などがあります。皮膚や髪の主成分であるタンパク質と似たような構造なので、頭皮や髪にとてもやさしくなじみ、ダメージから保護・修復してくれる効果が高い界面活性剤です。「ココイル加水分解コラーゲンNa」「ラウロイルシルクアミノ酸Na」「ラウロイルシルクアミノ酸K」などは非常に高級な成分です。
アミノ酸系(両性)の洗浄成分
- ラウラミノジプロピオン酸Na
- ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン など
「ラウラミノジプロピオン酸Na」は、天然由来で両性とアミノ酸のメリットを兼ね備えているため、髪だけでなく目や頭皮にもっとも低刺激です。
ベタイン系(両性)の洗浄成分
- コカミドプロピルベタイン
- ラウラミドプロピルベタイン
- ココアンホ酢酸Na
- ラウリルベタイン など
ベビーシャンプーにも使われるほど、低刺激で保湿力が高く、マイルドな洗浄力です。陰イオン(アニオン)界面活性剤と一緒に配合することで泡立ちが良くなり、刺激も抑えられる優秀な成分です。
【アミノ酸系洗浄成分のまとめ】
▪︎低刺激で程よい洗浄力がほしいなら:「アラニン系」
▪︎もうちょっとだけ洗浄力がほしいなら:「グリシン系」
▪︎頭皮と髪にとにかくやさしいものがほしいなら:「グルタミン酸系」「PPT系」
▪︎さらに低刺激でマイルドなものなら:両性「アミノ酸系」「ベタイン系」
アニオン(陰イオン)・カチオン(陽イオン)・アンホ(両性)
アニオン(陰イオン)界面活性剤には、親油性の成分が汚れや油に吸着し、「汚れを浮かせて落とす」という効果があるため、シャンプーに多く配合されています。
一方、カチオン(陽イオン)界面活性剤には傷んでマイナス(陰)に帯電した髪の毛に吸着するという特徴があるため、トリートメントやコンディショナーに多く配合されています。ただカチオン界面活性剤は刺激性・残留性が共に高く、皮膚には塗布しない方が望ましいと言えます。アンホ(両性)界面活性剤は、洗浄時のPHがアルカリ性であればアニオン化し、酸性であればカチオン化する界面活性剤です。
「ココイル…」「ラウロイル…」の違い
成分の最初にたくさん出てくる「ココイル…」「ラウロイル…」。その違いは何でしょうか?「ココイル…」は、原料のココナッツ脂肪酸アシル(ヤシ油脂肪酸アシル)から名付けられています(コカミド、ココアミドも同じ)。ココナッツオイルの脂肪酸構成組織は、約50%がラウリン酸、約20%がミリスチン酸、約10%がパルミチン酸です。一方の「ラウロイル…」は、ラウリン酸アシルから名付けられています(ラウラミド、ラウリルアミドも同じ)。つまり、「ココイル…」「ラウロイル…」共に主成分はラウリン酸ですが、「ラウロイル…」の方が純度が高いものと言えます。
Na・K・TEAの違い
界面活性剤はアミノ酸と脂肪酸を反応させ、アルカリ剤で中和させています。その中和剤として、Na(ナトリウム)・K(カリウム)・TEA(トリエタノールアミン)が使われています。使用感は Na=さっぱりサラサラ、K=さっぱり、TEA=しっとりというイメージです。
シリコンorノンシリコン
シリコンは毛穴に詰まり、髪や頭皮に悪影響を及ぼすという噂があり“ノンシリコン”を謳ったシャンプーが増えてきています。そもそも、シリコンの正体はケイ素(silicone)です。伸びが良くベタつかないシルキーな肌触りを叶える潤滑油(シリコンオイル)として、スキンケア・ヘアケアに使用するさまざまな化粧品に配合されています。代表的なものは○○メチコンなどという名前で成分表示されているものです。
シリコンオイルの主な作用はコーティングです。シリコンには水を弾く作用があるため、傷んだ髪の表面をコーティングし、キューティクルの剥がれや切れ毛などを予防することができます。その上、髪の手触りもさらさらと艶やかに整えてくれます。結論を言うとシリコンは安全性も高く、毛穴に詰まることはありませんし、髪や頭皮にダメージを与えることもありません。ダメージヘアのケア成分としては、決して悪いものとは言えません。
とはいえ、汚れを落とすためのシャンプーにとってシリコンがマストな成分ではないのも事実です。“シリコンorノンシリコン”を選択するキーワードはずばり“きしみ”。ダメージヘアで髪のきしみが気になるという方はシリコンの力を借りることをおすすめします。パサつきやきしみなどの悩みのない方はノンシリコンでもOK。ベタベタせずさっぱりとした洗い上がりで、使い続けていくと素髪力(コンディション)が上がっていきます。
オーガニックだから安心というのは間違い
オーガニックと聞くと、何となく“肌にやさしい”“カラダに良さそう”と思う方が多いのではないでしょうか。そういう意味でヘアケアやコスメでも、オーガニックの商品はとても人気が高まっています。
ただ、「オーガニック=肌(敏感肌)にやさしい」という考えは100%正しいとは限りません。そもそもオーガニックとは有機栽培のことで、化学肥料に頼らない植物の栽培方法を指します。植物でもかぶれやアレルギーは起こりますし、有機栽培であるがゆえにパワフルに肌へアプローチするものも多くあります。
また、オーガニックという言葉だけにこだわり過ぎると、汚れを取りきれなかったり髪がバサバサしたり、本来の目的である美しい髪を作ることができなくなってしまいます。
実は化粧品業界でのオーガニックの定義は非常にあいまいです。本来は天然成分のみで作られているもののことを言いますが、残念ながら天然成分は腐ってしまうので安定保存が難しいというデメリットがあります。それをカバーするために防腐剤が多く必要になるという矛盾に陥ってしまうのです。100%天然成分ということにこだわるより、良質な成分を主成分としたシャンプーを使うことが安全で美しい髪を作ります。
汚れを落とし、肌を守るバランスが大事
シャンプーには複数の洗浄成分が配合されており、裏面には基本的に配合量が多い順番に成分名が表記されています。一般的にアミノ酸系の成分が多く配合されていれば「アミノ酸系シャンプー」と言われますが、そのほとんどに硫酸(サルフェート)系の洗浄成分も配合されていますし、他にもさまざまな成分が複雑に組み合わさってできています。洗浄力が強ければ刺激も出ますし、逆に刺激を抑えようとすると洗浄力が落ちてしまいます。髪質の補修を求めれば、成分が髪の毛や肌に残りやすくなりトラブルの原因にもなります。ですから、成分名だけにとらわれるより、その組み合わせにより“洗浄力・泡立ち・質感・安全性・刺激”のバランスを見極めることが大切なのです。
「皮脂」と聞くと「取り除かなければならないもの」と思っている方が多いと思います。ですが、皮脂は皮膚を保護するバリア構造(角質層・セラミド・皮脂膜)の一部で、私たちの肌を守るために必要な分泌物です。
特に30代を超えると皮脂の分泌自体が減少してきます。洗浄力の強いシャンプーで皮脂膜を取り去ってしまうと、ダイレクトに角質層をこすることになり頭皮が荒れてしまいます。その結果、剥がれた角質層がフケになり、かゆみを感じることが多くなります。フケが多くなって不潔だからといって、さらに洗いすぎる行為を続けていると、炎症を起こしてしまうこともあります。
また、皮脂を取りすぎてしまったことで、肌を守ろうと皮脂腺の働きが活発になり、逆に皮脂の分泌量が増えることになります。「毎日二度洗いをするほどシャンプーをしているのにベトつきを感じる」という負のスパイラルに陥ってしまいます。
年齢を重ねるほど、硫酸(サルフェート)系のラウレス硫酸Naやラウレス硫酸Naのような洗浄力が強い成分には注意が必要です。なるべく肌に刺激を与えない洗浄成分を使用したシャンプーを選ぶようにするのがおすすめです。シャンプーの方法でも、まずシャンプー剤を使用する前にお湯で「予洗い」をしっかり行い、頭皮をこすらず泡で汚れを揉みだすことを意識して、頭皮の健康を保つことを心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか?最後に本当に良いシャンプーを見極めるためのチェック項目をご紹介します。
- 泡はしっとりときめ細かいか?
- トリートメントをつけなくても、きしまないか?
- ドライ後でも髪は艶やかか?
- 髪にコシがあり、ボリュームが出るか?
- パーマのカールがキレイに出るか?
- カラーの色落ちは少ないか?
- 触ったら、髪が手に吸い付くか?
これらの使う人の希望に応えるべく改善し続けたシャンプーこそ、本当に“良いシャンプー”であると言えます。ぜひこれらの項目を意識しながら、あなたにピッタリのオンリーワンのシャンプーに出逢う羅針盤にしてみてください♪
〈参考〉
田村マナ『大人の「品」は艶髪でつくられる』ワニブックス,2018年
牛尾早百合『人生を変える髪の魔法』自由国民社,2018年
Kiranah Life(キラナライフ)編集部
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