玉ねぎの皮に多く含まれているケルセチンの効果と活用法
玉ねぎで「血液サラサラ」!効果的な調理のポイント
目次
- 玉ねぎに含まれているケルセチン
- ケルセチンの体内での吸収
- 玉ねぎの皮を料理に活用したい
- 最後に
玉ねぎに含まれているケルセチン
玉ねぎにはポリフェノール類であるフラボノイドの一種であるケルセチンが含まれています。ケルセチンの大部分は様々な糖と結合したケルセチン配糖体という形でいろんな野菜に含まれています。中でも玉ねぎはケルセチン配糖体を多く含んでおり、微量成分も含め9種類のフラボノイド類の存在が認められているようです。玉ねぎに含まれるケルセチン配糖体含量は赤色種、黄色種、白色種の順に多く、貯蔵により増加する傾向があります。
ケルセチンの効果としては、消化管や血管壁においての抗酸化作用が挙げられます。消化管粘膜は食物から摂取した酸化促進物質や脂質過酸化物などにさらされているので、ケルセチンが *腸腸循環や *腸肝循環により長く腸にいることでこれらの酸化ストレスから守られているのではないかといわれています。その他にケルセチンの効果として脂肪の吸収抑制効果やがんの予防があります。最近では中枢神経においての抗酸化作用や骨格筋においての抗筋委縮作用などの研究がされているようです。
【脚注】
*腸腸循環:腸管から吸収された代謝物が、そのまま腸管細胞の管腔側に放出され、排出される循環のこと
*腸肝循環:腸管から吸収された代謝物が、胆汁とともに胆管を経て十二指腸管内に一旦分泌されたのち、腸管から再度吸収され、門脈を経て肝臓に戻る循環のこと
ケルセチンの体内での吸収
ケルセチン配糖体の吸収代謝経路はフラボノイドの中でもっとも明らかにされているようです。簡単にわかりやすくまとめてみました。
・ケルセチン配糖体の結合する糖の種類や糖が結合する位置で吸収率が異なり、糖の種類としてはグルコースのみが結合した配糖体が吸収されやすい。
・玉ねぎに含まれているケルセチン配糖体はグルコースのみが結合した配糖体(85%以上)が多いので吸収されやすい。
・ケルセチンはプロオキシダントとしての作用(抗酸化物質として作用している物質が逆に酸化を促進する)があり、生体異物として吸収過程で解毒代謝される。
・ケルセチンの体の中への吸収量は数%程度である。
・腸腸循環や腸肝循環を行ったり血液中でケルセチン抱合体代謝物としてアルブミンと結合し輸送され尿中に排出される。
・中枢神経への作用としては何らかの輸送システムを用いて血液脳関門を通過する必要があり研究中である。
玉ねぎの皮を料理に活用したい
玉ねぎを料理する際、外皮をむいて白い部分だけを使う人が多いかなと思われますが、実は外皮にこのケルセチンが多く含まれています。外皮には可食部の20倍以上のケルセチンが含まれているようで捨ててしまうのはもったいないような気がします。ケルセチンは冷水には溶けませんが熱水には溶ける性質があるようなので玉ねぎの皮を冷水できちんと洗い、お湯に溶かしていろんな料理に入れてみてはいかがでしょうか。お茶として飲まれている方もいるようなのでぜひ試してみてください。
最後に
ケルセチンにプロオキシダント作用があるように、良いとされている成分が悪い働きをすることがあります。しかし、ケルセチンに関して日常の食生活の中で食物から摂取している場合は、吸収は数%なので、体内の解毒代謝作用もあり問題とはならないと個人的に思います。しかし、大量摂取してしまうと解毒が追いつかなかったりする可能性もありますので毎日いろんな食材を食べたいですね。次回玉ねぎを使った簡単な料理をいくつか紹介しようと思います。食卓の一品に加えてみてはいかがでしょうか。
<参考図書>
・寺尾純二. (2005). ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構 (ビタミン類縁化合物に関する最近の研究). ビタミン, 79(1), 3-11.
・岡本大作, 野口裕司, 室崇人, & 森下昌三. (2006). タマネギにおけるケルセチン配糖体含量の遺伝的変異. 園芸学会雑誌, 75(1), 100-108.
・清枝希帆, & 前川昌子. (2010). タマネギ外皮中のケルセチンによる羊毛の染色. 日本家政学会誌, 61(1), 31-35.
・寺尾純二, & 芦田均. (2006). 機能性ポリフェノール. 化学と生物, 44(10), 688-698.
・寺尾純二. (2015). 酸化ストレスを制御する食品機能成分の活性発現機構に関する統合研究. 日本栄養・食糧学会誌, 68(1), 3-11.
・久保田紀久枝,&森光康次郎.(2012).スタンダード栄養・食物シリーズ5食品学-食品成分と機能性-第2版補訂
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