ウイルスが人を救う⁉今注目のバクテリオファージ(抗生物質編)
バクテリオファージ特集第2週、今週はバクテリオファージの研究を下火にするきっかけになった抗生物質にフォーカスを当ててみます。
風邪を引き病院に行くと、抗生物質を処方されることがあるかと思います。
抗生物質の発見の歴史は第1週でご紹介しましたが、あらゆる感染症を治す奇跡の薬として数々の貢献をしてきました。
そんな抗生物質とはいったいどういうものなのかご紹介していきます。
抗生物質とは
抗生物質とは、青カビからペニシリンが発見されたように、生物、その中でも特に微生物が作る物質です。
抗生物質は、微生物の生育を阻止するものとして知られています。
現在では、がん細胞などの働きや増殖を抑える働きをするものも抗生物質に含まれています。
特徴としては、人の正常な代謝や機能に影響を与えることなく、病原菌などの微生物やがん細胞の働きを阻止するという点があります。
抗生物質はどのように働くのか
抗生物質はどのように働くのでしょうか。
①細胞壁の合成をジャマする
②タンパク質や核酸が作られる経路を標的としてジャマをする
細菌は細胞壁を持っていますが、人は持っていません。
また、タンパク質はエネルギー源になりますので、細菌特有の経路でタンパク質が作られなくなると細菌は弱ります。
このように抗生物質は人の組織を壊すことなく、細菌だけを標的にすることができます。
抗生物質に耐性を持った菌の出現
抗生物質は人が病原菌と戦う上で有効な手段ですが、近年抗生物質が効かない耐性菌が出現してきました。
耐性菌は、不適切な抗生物質の使用(対象となる病原菌に効果のない抗生物質の服用など)や、不必要な使用(完治した後も服用を続けるなど)によって生まれやすくなります。
一般的な風邪の原因は9割がウイルスによるものです。この場合、抗生物質は効果がありません。
安易に風邪だからと抗生物質を飲むと、病原菌が体内で突然変異してしまうこともあります。
突然変異することで、抗生物質が標的としていた機能が変わってしまったり、抗生物質が細胞の中に侵入できないように細胞表面が変わったりということが起こります。
抗生物質が必要な場合は、きちんと飲み続けることも必要です。
飲み忘れにより病原菌が増殖し始めると、その抗生物質に対して耐性を得るような突然変異を起こしてしまう可能性もあります。
医師の診断に従って、正しく飲むことが必要です。
次回予告
次回はいよいよバクテリオファージのメイン回です。
近年深刻な問題となっている抗生物質に耐性を持った耐性菌。
そんな耐性菌を攻略する救世主として、抗生物質よりも古い歴史を持つバクテリオファージが今注目されています。
ウイルスであるバクテリオファージがどのように人を救うのでしょうか。
お楽しみに!
matsuki_takahiro
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