栄養素を傷つけないフリーズドライ製法の仕組み(基礎編)
昨今、インスタントコーヒーや即席スープなど、様々な食品の提供方法として確立されているフリーズドライ製法。
水(お湯)で戻すことで、乾燥前の状態に再現することができる面白い技術です。
宇宙食の一部にも使われるなど、フリーズドライの技術は幅広く使われています。
いったいどんな仕組みであのような多孔質(穴が多く開いている状態)なものができあがるのでしょうか?
そんな意外と知らない、フリーズドライの仕組みを、今回は基礎編としてご紹介します。
目次
- フリーズドライは蒸発ではなく昇華
- フリーズドライ製法のメリット
- さいごに
フリーズドライは蒸発ではなく昇華
フリーズドライとは、乾燥させたい対象物を冷凍し真空状態下で加熱することで乾燥させるといった乾燥法です。
通常、氷に熱を加えると、溶けて水になり(融解)、水蒸気になります(蒸発)。
水は100℃で沸騰し蒸発しますが、富士山の山頂で沸騰させようとすると88℃の温度でよいということをご存知の方も多いかと思います。
蒸発する温度が変化する理由は気圧にあります。山頂は平地と比べて気圧が低いために沸点も下がります。
フリーズドライはこの仕組みにより、ほぼ真空状態まで気圧を下げて、氷から直接水蒸気へと状態変化させる昇華を利用して乾燥させています。
下に水の状態図を示していますが、この通り、気圧と温度の条件によって変化する状態が変わってきます。
そのため、凍った素材の中から氷だけが抜けていきますので、冒頭に書いたように穴が多く開いている状態に仕上がります。
フリーズドライ製法のメリット
フリーズドライ製法でできた食品には、どんなメリットがあるのでしょうか。
1.お湯を注ぐだけで元に戻る
フリーズドライの最大のメリットは、お湯を注ぐだけで簡単に元に戻る復元性です。
この復元性を実現するのが、フリーズドライ製品の特長である穴が多く開いている状態によるものです。
穴が多く開いているので、水に触れる面積が多くなります。そのため水の浸透も早く、すぐに元に戻るのです。
2.栄養素を失いにくい
冷凍した状態から乾燥をしますが、加熱といっても30℃~40℃程度ですので、その素材に含まれる栄養素の大半を残すことができます。
3.色や香り、味や食感もそのままに
1.と同じ理由ですが、食べ物として見た目がいいことや美味しいということは非常に大事な項目です。高温で乾燥させる製法では失われてしまうような色や香りもそのままに、味や食感までも再現することができます。
4.保存性が高い
水を抜いていますので、長期の保存も可能になります。
しかし、保存状態によっては、多孔質状態があだとなり湿気たり、酸化したりということも起こります。
さいごに
今回は、フリーズドライの基本的情報をご紹介してきました。
忙しい朝であったり、キャンプなどのアウトドアであったりと、いろんな場面に役立ちます。
最近では、即席スープのような液体系の商品以外にも、ドライフルーツのような固形のフリーズドライ食品も増えてきました。まだまだフリーズドライの技術は発展しているのです。
シーンに合わせて、あなたの食卓にもフリードライ食品をとりいれてみてはいかがでしょうか。
matsuki_takahiro
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