米食べて、適度に動き、美肌保持。

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キラナライフの山川です。若干メタボを気にしております。

糖や脂肪、すなわちカロリー物質の摂取量を気にする女性は多いと思います。両者ともに酸素原子を含む炭化水素です。炭化水素を主体とするものとして、紙、木、アルコール、食用油などが挙げられますが、どれも火をつけると燃焼して熱エネルギーを放出します。呼吸も燃焼の一種で酸素を供給して糖や脂肪を燃やしてCO2を出しています。糖や脂肪はそれぞれ体内で解糖系、β酸化という代謝系により燃焼して運動や生命維持活動に必要なエネルギー物質「ATP」を生成します。解糖系、β酸化を通して健康と美について考えてみたいと思います。

目次

  • 生体エネルギー「ATP」とは
  • エネルギー「ATP」の消費と生成
  • ATP関与代謝系で考える美と健康
  • まとめ

 

1.生体エネルギー「ATP」とは

解糖系、β酸化等で生成されるATPは筋肉の収縮や体内成分の合成等で消費され、図1のようにエネルギー(カロリー)を放出してADPとなります。ADPは解糖系、β酸化においてATPを生成するときにも使われます。「ATP」、「ADP」、「AMP」のT、D、Pはそれぞれ「トリ(三つ)」、「ジ(二つ)」、「モノ(一つ)」を示し、分子内のリン酸の数を示します(図2参照)。リン酸を付けたり放したりすることでエネルギーの生成、消費を行っています。

2.エネルギー「ATP」の消費と生成

①ATPの消費例

1)筋肉の収縮

筋肉の伸縮は図3のようにアクチン間にあるミオシンのミオシンヘッドにATPが加わって、アクチンのミオシンバインディングサイトと結合し、ATPを消費しながらまるで手をグーにしてこまねく手首のような動きでアクチンをスライドし、次のアクチンバインディングサイトに結合します。これが繰り返し行われることで、筋肉(筋原線維)が収縮します。

2)脳での消費

脳においても大量のATPは常に消費されます。但し、脳で消費するATPは糖由来(解糖系)によるものです。

3)脂肪酸の合成及び糖新生

図4は解糖系、β酸化、クエン酸回路、糖新生、脂肪酸合成の体系図ですが、それにみられるようにATPを消費して糖新生や脂肪酸合成が行われます。

②ATPの生成例

1)解糖系とクエン酸回路の組合せ(図4参照)

解糖系とはATPを消費・生成しながら、ブドウ糖(グルコース)が3-ホスホグリセリン酸を経てピルビン酸、アセチルCoAを生成する経路です。アセチルCoAはクエン酸回路・電子伝達系により多くのATPを生成します。すなわち化学式で示すと以下のようになります。

C6H12O6 + xO2 + 38Pi + 38ADP = 6CO2 + 6H2O+38ATP

2)β酸化とクエン酸回路の組合せ(図4参照)

摂取された(中性)脂肪(トリグリセライド等)は膵臓などから分泌されるリパーゼによりグリセリンと脂肪酸に分解されます(図4参照)。脂肪酸にCoAを付加することで、ミトコンドリア内でのβ酸化及びクエン酸回路・電子伝達系で解糖系の数倍多くのATPを得ることができます。

(脂肪酸としてC18:ステアリン酸の場合)

C17H35COOH + 26 O2 + 146 Pi + 146 ADP → 18 CO2 + 164 H2O + 146 ATP

※CoA(補酵素A)の構造

3.ATP関与代謝系で考える美と健康

①肌に艶を

1)脂肪をあえて摂取したほうが良いのか

「脂がのる」という言葉は良い意味で語られることが多いかと思います。10歳代の児童・青少年にはあまり使われませんが、それなりの歳の人において、ふくよかさがあり、ハリのあるきめ細かい素肌に用いられることが多いと思います。では、肌に脂をのせるために積極的に脂肪をとらなければならないのでしょうか。
図4をみてみますと解糖系で生成されたアセチルCoAとオキサロ酢酸とでクエン酸が合成されますが、クエン酸は脂肪酸合成系にも入ります。したがって、積極的に脂肪をとらなくても体内で必要に応じて合成されるようです。

2)糖質から良質の脂質が得られるのかも

20~30年前の話になりますが、テレビで芋しか食べない種族のドキュメンタリーを見た覚えがあります。その人たちは理想的な肌艶の持ち主であったことを記憶しております。芋の糖質から美肌につながる脂質が体内で合成されたためではないかと考えております。我々は日本人といえば米ですから、米(特に玄米)を多くとると日本人的に良質な脂質が合成されるかもしれません。(個人的な感想です。)

3)細胞を不老化する解糖系

細胞実験において解糖系を亢進(高ぶらせること)させた皮膚細胞(線維芽細胞)は不老化(いつまでも活きのいい細胞化)し、解糖系を抑制させると老化を促進するという報告があります。解糖系で抗酸化力のある「NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)」が産生されるためであると考えられています。糖分の代謝は肌を元気に保つ効果があるのかもしれません。

※NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)

②脂肪を燃焼させるには

脂肪を燃焼させるにはβ酸化により脂肪酸を代謝する必要があります。筋肉を動かすことでATPは消費しますが、即時的には解糖系のATPが使用されます。長時間の運動でβ酸化が発動しますので、そこから脂肪の燃焼が始まります。

私は今、電車通勤をしており、電車に遅れまいと息を切らすほどのランニングをたびたび経験しておりますが、走りだしてある時点から、体がほてり、汗が出てくるといった変化を感じます。その変わり目がβ酸化の発動ではないかと思っております(個人的な感想です)。ものすごく脂肪を燃焼しているであろうでしょうから、痩せるためにそのまま走り続けたい気にもなります。

また、脳もATPを消費しますが、消費するのは解糖系限定らしいので、どんなに高速に思考回路を巡らせてスペシャルな思い付きができたとしてもβ酸化には持ち込めず、脂肪の燃焼には至らなさそうです。

③非常時の脂肪のありがたさ

現代では可能性は少ないですが、遭難や災害時等の非常時で食料を摂取できなくなるような事態は起こりうると思います。皮下脂肪は物理的に寒さから身を守る点でも役に立つことは容易に想像できます。一方で、空腹時にはβ酸化によりATPが生成され、生命維持に役立っています。非常時にはその難から逃れるために体を動かしてATP消費をしなければならない局面も発生するでしょうし、じっと待つにしても生命維持のためにはATP消費は必要となります。そんな時のβ酸化による大量のATPの生成はほんとに助かることでしょう。
私は体脂肪が多いほうですが、家族が私の体重などについて触れてこようものならば、非常時に家族を守るためのことだから感謝するようにと言い返しています。

④糖や脂肪の枯渇には注意

糖や脂肪は生命維持に必要なATP産生に必要不可欠です。これらが枯渇すれば飢餓状態になります。このような時のエネルギー源はアミノ酸となります。各種アミノ酸はアセチルCoA、αケトグルタル酸、スクシニルCoA、フマル酸、オキサロ酢酸などに代謝されクエン酸回路に入ってATPを生成します。アミノ酸を犠牲にしてATPを得ているのです。アミノ酸はタンパク合成に必要な成分です。タンパク質は筋肉や臓器などの構成成分で、また、生命活動維持に必要な代謝酵素もタンパク質です。すなわち、糖、脂肪の枯渇は体づくりや代謝に影響を及ぼし生命の危機に瀕する可能性があります。また、糖や脂肪が枯渇するほどダイエットをし過ぎると肌の状態を悪化させるのは必至です。

4.まとめ

糖及び脂肪はどちらもエネルギー代謝で必要なものですが、脂肪は汗をかくくらいの持久的なエネルギー消費に適しており、糖は瞬発的なATPの供給源のような感じがします。また、脂肪をとらなくとも体内で糖から脂肪酸合成ができますし、糖は脳を働かせるために欠かせず脂肪はこれにとって代わることができません。また、解糖系は肌でも働いていることが明らかにされており、解糖系代謝が細胞を不老化することも報告されています。糖の源グリコーゲンたっぷりの穀物(米、芋)類の摂取は生命維持、美容において非常に重要であることは間違いありません。カロリー制限をしてサーチュイン遺伝子を働かせると抗老化、延寿をする等ともいわれております。その真偽はわかりませんが、脂肪の摂取はともかく、糖分の摂取については無理に控えるということはやめたほうが良いと考えています。

「米食べて、適度に動き、美肌保持。」が、日本的な美さをもつ女性のイメージに近づける方法であると私は考えております。

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山川雅之

GENPRESS 品質保証・責任技術者 日本毛髪科学協会 毛髪診断士
■公益社団法人 日本毛髪科学協会 毛髪診断士 ■公益社団法人 日本毛髪科学協会認定講師 ■趣味:無趣味で楽をすることが好きです。例えば、野球より和牛をバスケよりビスケを、バレーよりレバーをサッカーよりサッカロースを好みます。おかげでメタボに片足を突っ込んでいます。それが原因ではないと考えているのですが、アラフォー以降の年々の尿酸値の高まりに最近になって危機感を覚え、独自の改善方法を編み出すことを趣味代わりにしております。

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